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秋田県林業コンサルタントからのお知らせ

 

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【トピックス 】林道橋の維持管理について

(はじめに)
   インフラ施設の長寿命化を進めるため、県や市町村では、これまでつくってきた治山、林道構造物について、施設の劣化状況や対策概要などを判定する点検調査を行っています。当社団でも、こうした点検調査を市町村から受託しておりますが、点検結果から、改めて、林道橋の維持管理の大切さについて考えてみました。

(点検結果概要) 
 当社団では、平成29年度に、県内3市の林道21路線で、49の橋梁を調査しました。調査点検は、近接目視により行い、必要に応じて触診や打音等の非破壊検査などを併用して行っています。
 その結果、緊急に対策が必要な「Ⅳ緊急措置段階」の橋梁は、幸いにも見当たりませんでしたが、今後、支障が生じる可能性のある「Ⅲ早期措置段階」が5基(10%)、予防的に措置を行うことが望ましい「Ⅱ予防保全段階」が30基(61%)確認されました。健全な橋梁は14基(29%)でした。

(早期措置段階)
 「早期措置段階」の5基については、橋台基礎部が長期の流水や流石などで洗堀、摩耗、破壊が発生し上部構造に影響を及ぼす恐れがあるもの、床版や橋台のコンクリート部分に亀裂、剥離が生じ内部鉄筋の腐蝕が進んでいるもの、側壁ブロックが欠損して背後の浸食が進んだもの、防護柵が腐蝕劣化したものなどがあります。これらの橋梁の多くは設置後50年ほど経過したものです。多くは、根継工や断面修復などの早期の対策が必要かと思われます。

     
  洗掘による橋台破損             側壁ブロックの欠損

(予防保全段階)
 「予防保全段階」の30基については、劣化程度は様々ですが、特に、主桁、横桁、床版などのコンクリートのクラックや表面剥離による鉄筋露出や腐食、滞水やひびわれによる遊離石灰を伴った漏水、支承の腐食が随所に見られました。
 林道橋だけでなく、一般的に古い橋梁は設計荷重が小さく、床版厚や鉄筋量も少ないといわれております。特に、昭和40年代前半に設置されたRC床版などは配力筋が現行の1/3~1/4程度とされています。床版厚自体の不足や近年の過大な輪荷重なども相まって、橋に縦方向の荷重が繰り返しかかった結果、漏水、ひび割れ、剥離が発生したものと推測されます。曲げひび割れなどが入ったコンクリート面は、上下のすり合わせの繰り返しにより、さらにコンクリート摩耗が促進され、鉄筋に沿ったひび割れに発展し、鉄筋腐食も加わり、RC構造物に深刻な劣化をもたらします。

   
  遊離石灰を伴う漏水              支承の腐食

  このため、現時点では「予防保全段階」にとどまっている30基ですが、「早期措置段階」に至る前段階の状態と解釈する必要があります。いわば、橋機能に支障が生じる状態の前段階が、「雨後の筍」のように、多くの箇所で見受けられるということです。
 対策は早いほうが経費負担が少なくて済みます。これらの箇所は、今後、コンクリートのチッピング充填処理、鉄筋・支承の防食処理、塗装、防水処理などが必要と思われます。
   また、集排水施設の土砂づまりや路面の土砂堆積が各所にみられます。雨水との接触環境を長期間保つとRC構造物の耐久性が著しく下がると言われており、土砂除去等のメンテナンスが大切と思われます。

  
   橋路面の土砂堆積           排水施設の土砂詰まり


(今後の対応)
 今回の定期点検の結果は、今後の維持・補修等の計画を立案する上で参考となる基礎的な情報であり、林道の管理主体である市町村では、今後、こうした診断情報を蓄積していくこととしております。また、診断結果を生かし、「個別施設計画」を策定し、今後、具体的な対策を検討していく予定となっております。

 林道橋の耐用年数は50年程度とされておりますが、既に耐用年数に到達した橋梁が各所にあり、今後ますます増加します。林道橋の定期点検は、国の基準では、通常、5年に1回のサイクルで行うこととされております。老朽橋が増加することに加え、スギの主伐期を迎え輪荷重の大きい車両の通行が増大することも踏まえ、こうした定期点検は確実に行っていく必要があります。


 

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【トピックス 】一年を振り返って~降雨量からみた7月22、23日災害~


  本年は、7月、8月と集中豪雨に見舞われ、林地、林内路網の災害が県内各所に発生しました。家屋の被災や農業被害などに遭われた方々には、改めてお見舞いを申し上げます。
 特に、7月22~23日は、総雨量が雄和348mm、横手314mm、大正寺305mm、角館301mmなど気象台の県内各観測所で300mmを超えました。また、雨量強度という側面から、最大1時間当たり雨量を見ると、大館市陣場78mm、秋田市雄和73.5mm 、横手市横手68.5mm などとなっていますが、由利本荘市北部付近で、レーダーと観測所の観測値による解析雨量(速報値)では、1時間当たり100mmを解析したという情報もあり、記録的な激しい雨となりました。近年の局所的な集中豪雨は、県内40カ所に満たない気象台観測所だけでは十分に捕捉しきれない側面があり、今後は、こうしたレーダーとの組み合わせによる推定雨量も地域の実態を知る上で重視されること思われます。

    一般的な雨量の指標としては、降り始めからの総雨量、24時間、3時間、1時間などが重要で、洪水、浸水、農作物被害、土砂災害などの注意喚起の予報の目安とされています。概して、大流域の河川の洪水は、より長時間の雨の総量が関係し、流域が小さくなるほど、より短時間の降雨強度が関係するようです。冠水害は総雨量、土砂災害は3時間程度の降雨強度との関係が深いとも言われております。
 よく聞く「バケツをひっくり返したような雨」とは、時雨量50mm以下で用いられる用語のようです。40年前、この「バケツ雨」を、強雨で知られた三重県尾鷲の林地内で経験したことがあります。当地区のヒノキ林を視察中、突然の激しい雨に出くわし、衣服はすぐにびしょ濡れとなり、数メートル先が見えない状態となりましたが、幸い、近くの視察バスに逃げ込み事なきを得ました。正確な雨量は定かではないものの、後日、地元の説明者に「あれがバケツ雨だ」と説明されました。ヒノキ林で有名な林地内の地表を観ると、Ao層がなくなり、むき出しとなった支持根が林内各所にあり、過去の激しい雨の影響を感じました。
  今夏、秋田で発生した100mm近い雨とは、こうした「バケツ雨」の2倍なので、土砂崩落、表土の流出に直結し、また、現場にいれば強い恐怖を覚えるのではないかと思います。 秋田気象台の資料によれば、県内の時雨量100 mm 越えは、平成25年8月9日に鹿角観測所などで記録しています。 県北部に大被害をもたらし、また、田沢湖町供養佛地区で山腹崩壊が発生し多数の人命を失ったあの豪雨です。

 当時の県議会公表資料によれば、県北部を中心に、林地・林道施設は被害額32億円で、林地は山腹崩壊等112箇所、27億円。林道は路肩決壊等197路線445箇所、5億円となっています。(一部、25年7月災害含む)
 今回の被害額は、林地・林道施設が21億円で、林地については、県の中央・南部を中心に、山腹斜面の崩壊等113箇所13億円、林道については、中央・南部、北秋田地域を中心に、249路線670箇所7億円(29年8月県議会資料)です。林野災害は山間部奥地に発生する場合が多く、短期間に全てを掌握することは難しいものの、数値を単純に比較しても、平成25年以来の大きな豪雨災害です。

 気象資料によれば、日本の最大時雨量の記録は、九州、四国など西日本中心に150mmを超えています。総雨量もさることながら、時雨量が土砂災害に及ぼす影響は大きいと考えます。しかも、近年、範囲が局部的でその強度も増しているように思います。時雨量100mm超えの雨が再度襲ってくるかもしれません。災害への備えを点検するとともに、有事の際は、是非、当社団にもご一報を頂きたいと思います。

                                              (渓流の浸食崩壊:写真提供秋田地域振興局)


           (道路脇の山腹崩壊:写真提供 秋田地域振興局)


【トピックス 】ドローン散歩:森林とため池、水資源ストックの両輪です

森林の空撮中、山林の沢地形などを活用したため池が各所に見られます。水資源のストックという意味で、森林の持つ水源涵養機能と同様の働きがあり、農業用水が不足する地域や常水が期待できない地域で古くから造成され、農業用に活用され、一部は、親水エリアとして人々の憩いの場となっています。主に渇水が頻発する西日本に多いと言われますが、本県でも大小2500箇所もあり、多くは土地改良区、水利組合等の農業者組織が管理しています。
 明治時代以前に築造された老朽ため池も多数あり、さらに近年は、集中豪雨が多発していることもあり、決壊リスクが増大していると言われています。このため、県では危険度調査をはじめ、ハザードマップの作成支援、施設の改修事業なども行っています。
 
横手市平鹿町醍醐地区のため池

【トピックス 】ドローン散歩:空からみた秋田市飯島付近の海岸林です

本年6月、秋田市飯島の海岸林を南側に向け空撮しました。海岸林の中を海に平行して、四車線の県道秋田男鹿線が南北に延び、写真奥に秋田マリーナ、風力発電などが見えます。
 当地域一帯の海岸林は「夕日の松原」と名付けられ、飛砂や強風から飯島地区の人々の生活を守ってきました。雄物川から南側の海岸林が平成15年前後にマツクイムシにより壊滅的な被害を受けたのに対し、当地域では薬剤散布と伐倒駆除が効果的に行われ、これまで微害に留まってきています。
 また、当地域一帯が浸食海岸であるため、暴風災害発生時に、県の建設、林務両部局で離岸堤を設置しました。離岸堤の背面(陸側)にはトンボロ効果による流砂の堆積が見られます。かって、「子供のころは砂浜がたっぷりあり海に向かい100m走をしたものだ」と県の林務OBの方が語っていたことを考えれば、クロマツなどによる植生被覆が進む一方で汀線部の浸食が進むなど、海岸部一体が大きな変わりようです。

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