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秋田県林業コンサルタントからのお知らせ

 

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【トピックス 】一年を振り返って~降雨量からみた7月22、23日災害~


  本年は、7月、8月と集中豪雨に見舞われ、林地、林内路網の災害が県内各所に発生しました。家屋の被災や農業被害などに遭われた方々には、改めてお見舞いを申し上げます。
 特に、7月22~23日は、総雨量が雄和348mm、横手314mm、大正寺305mm、角館301mmなど気象台の県内各観測所で300mmを超えました。また、雨量強度という側面から、最大1時間当たり雨量を見ると、大館市陣場78mm、秋田市雄和73.5mm 、横手市横手68.5mm などとなっていますが、由利本荘市北部付近で、レーダーと観測所の観測値による解析雨量(速報値)では、1時間当たり100mmを解析したという情報もあり、記録的な激しい雨となりました。近年の局所的な集中豪雨は、県内40カ所に満たない気象台観測所だけでは十分に捕捉しきれない側面があり、今後は、こうしたレーダーとの組み合わせによる推定雨量も地域の実態を知る上で重視されること思われます。

    一般的な雨量の指標としては、降り始めからの総雨量、24時間、3時間、1時間などが重要で、洪水、浸水、農作物被害、土砂災害などの注意喚起の予報の目安とされています。概して、大流域の河川の洪水は、より長時間の雨の総量が関係し、流域が小さくなるほど、より短時間の降雨強度が関係するようです。冠水害は総雨量、土砂災害は3時間程度の降雨強度との関係が深いとも言われております。
 よく聞く「バケツをひっくり返したような雨」とは、時雨量50mm以下で用いられる用語のようです。40年前、この「バケツ雨」を、強雨で知られた三重県尾鷲の林地内で経験したことがあります。当地区のヒノキ林を視察中、突然の激しい雨に出くわし、衣服はすぐにびしょ濡れとなり、数メートル先が見えない状態となりましたが、幸い、近くの視察バスに逃げ込み事なきを得ました。正確な雨量は定かではないものの、後日、地元の説明者に「あれがバケツ雨だ」と説明されました。ヒノキ林で有名な林地内の地表を観ると、Ao層がなくなり、むき出しとなった支持根が林内各所にあり、過去の激しい雨の影響を感じました。
  今夏、秋田で発生した100mm近い雨とは、こうした「バケツ雨」の2倍なので、土砂崩落、表土の流出に直結し、また、現場にいれば強い恐怖を覚えるのではないかと思います。 秋田気象台の資料によれば、県内の時雨量100 mm 越えは、平成25年8月9日に鹿角観測所などで記録しています。 県北部に大被害をもたらし、また、田沢湖町供養佛地区で山腹崩壊が発生し多数の人命を失ったあの豪雨です。

 当時の県議会公表資料によれば、県北部を中心に、林地・林道施設は被害額32億円で、林地は山腹崩壊等112箇所、27億円。林道は路肩決壊等197路線445箇所、5億円となっています。(一部、25年7月災害含む)
 今回の被害額は、林地・林道施設が21億円で、林地については、県の中央・南部を中心に、山腹斜面の崩壊等113箇所13億円、林道については、中央・南部、北秋田地域を中心に、249路線670箇所7億円(29年8月県議会資料)です。林野災害は山間部奥地に発生する場合が多く、短期間に全てを掌握することは難しいものの、数値を単純に比較しても、平成25年以来の大きな豪雨災害です。

 気象資料によれば、日本の最大時雨量の記録は、九州、四国など西日本中心に150mmを超えています。総雨量もさることながら、時雨量が土砂災害に及ぼす影響は大きいと考えます。しかも、近年、範囲が局部的でその強度も増しているように思います。時雨量100mm超えの雨が再度襲ってくるかもしれません。災害への備えを点検するとともに、有事の際は、是非、当社団にもご一報を頂きたいと思います。

                                              (渓流の浸食崩壊:写真提供秋田地域振興局)


           (道路脇の山腹崩壊:写真提供 秋田地域振興局)


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