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秋田県林業コンサルタントからのお知らせ

 

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【 ニュース 】治山施設機能強化事業の仙北市岩井沢地区などが優秀賞を受賞しました~治山・林道工事等コンクールから~

 去る6月4日、秋田県森と水の協会が主催した「治山林道コンクール」の表彰式が、秋田市で行われました。
 治山工事では、優秀賞に治山施設機能強化事業の仙北市岩井沢地区、優良賞に復旧治山事業の鹿角市作沢ノ沢ほか6地区、林道工事では、優秀賞に林業専用道の秋田市中山沢地区、優良賞に森林資源循環利用林道の北秋田市大滝沢線ほか5路線が選出され表彰されました。また、治山木材使用工事で、予防治山事業の北秋田市大渕地区が優秀賞として表彰されました。受賞された関係者の皆様、誠におめでとうございます。

(治山工事部門)
 仙北市岩井沢については、秋田駒ヶ岳の火山活動に起因する脆い土質と大転石で知られ、土砂災害が発生しやすい地区であるため、既に、昭和40年代から10基以上の治山ダムが施工されてきました。今後も大量の流下土砂量が想定されているため、既存施設を活用して、嵩上げ工とともに透過型治山ダム(スリット構造)としたものです。こうした対策を行うことにより、常時の流出土砂流下、土石流発生時の急激な土砂流出防止と流木捕捉など、土砂災害防止の機能強化が図られます。


     治山施設機能強化事業 仙北市田沢湖生保内字岩井沢地区 

 (林道工事部門)
 中山沢線は、延長300m、幅員3.5mの林業専用道(規格相当)で高能率生産団地萱ヶ沢第二団地284haの基幹的な路網として整備されました。利用区域のスギ人工林率は71%で、49人の私有林のほか、県有林、市有林があり、多くが8零級以上であることから、今後、間伐、主伐などの計画的な施業が期待できます。アクセス機能の十分な確保、切土・盛土の抑制、最小限の伐開幅などの設計上の配慮とともに、丁寧な施工、美しい仕上がりが高く評価されました。



         林業専用道 秋田市雄和萱ヶ沢字中山沢線

(治山木材使用工事部門)
 大渕地区については、県産材の活用促進と生態系への負荷軽減等を目的に、渓流に計画した床固め工の中の一基を木製としたものです。木製ダムは、一般的に、土石流の発生する可能性の低い渓流で、後日の補修や維持管理が比較的容易な箇所に設置されます。木材の有効活用の好事例であるとともに、適切な施工管理、景観になじんだ仕上がりが評価されました。

  この3件は、いづれも、当社団が受託し、発注者の指示に基づき測量設計を行ったものです。



        施工中の木製床固工(ダム基礎部)
 
         完成した木製床固工全景、側壁工、水叩き工も木製部材を使用

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【トピックス 】人手不足が施工現場に及ぼす影響


■労務不足が広がる建設土木業界

 本年度の公共事業予算は、政府の特別枠の措置などにより、建設、農林とも、これまでにない増額予算となりました。予算的にはやや明るい兆しがみえたものの、一方で、建設土木業界ではまったなしの課題もあります。建設土木業界にまん延する人手不足の問題です。秋田労働局が公表している建設土木技術者の有効求人倍率は6.9倍(5月)で分野別では最も高い状況です。有効求人倍率の平均は1.5倍程度であるので突出しているといえます。ハローワークに聞くと、現場の配筋、溶接、型枠などの熟練労務はもとより、一般労務、施工管理、測量・設計でも人材不足が顕著であるといいます。かって、秋田では当たり前の姿であった、農家の長男が自家農業を行いつつ地元の建設会社で現場業務を担う姿が少なくなってきているのです。そもそも、農家の跡継ぎが少なくなったのです。

 現場労務の不足は平成になる前から叫ばれていましたが、30年経過して問題がさらに拡大しました。建設省資料によると、公共工事の労務単価は、建設土木投資の長期の縮減により平成24年頃まで低下してきましたが、東日本大震災の発生などもあり、一気に人手不足感が広がり、その後は7年連続して上昇しています。しかしながら、業界から労務がなくなるのは賃金の問題ばかりではなく、三K、長時間労務、古い価値観など、建設土木業界に内在する基本的問題があるからです。賃金・給与が上がっても、マイナスイメージが若者に定着すれば、加速化する労務減少に歯止めをかけるのは難しいのです。

■渓間工事の現場

 森林土木事業は、ご存じの通り、急傾斜地、山間奥地の現場が多く、土木機械使用が限定され、どうしても人力に頼らざるを得ない工種があります。施工現場を観てみると、設置予定の構造物周囲の土砂移動が予想以上に多く、移動土砂と地山の区別がつかないほど、地山や渓床を削って攪拌した現場を見かけます。人手不足のこの時代、周囲の地山は邪魔者であって、大型機械の搬入や効率的な生コン打設などを考え、目的とする構造物を手際よく施工、完成することにのみ注意が注がれているためだと思われます。ダムを作る目的は不安定土砂を抑止すること、あえて地山を利用した狭い場所を選びダムを造ること、地山を崩せばルーズな不安定土砂が多く発生すること、などの治山工事の趣旨を十分に理解していない施工業者の方も残念ながらいます。できるだけ地山を痛めないで目的の構造物をセットすることが森林土木事業の基本です。しかし、人手不足の中、こうした考えは効率性と相反する面が大きく、現場の施工者には難しい問題でもあります。

 また、足場材や型枠材などの現場内の小運搬は、設計積算上は本工事費の諸経費内といわれますが、山間傾斜地だと、現場内の資材横取り経費や人工手間がばかにならず、要領が悪いと実行費が設計費を上回ってしまうといいます。実は、労務の減もさることながら労務の質も低下したのだそうです。昭和の時代には筋肉労働を担える若者が多かったのですが、現在は年配者が多く、その結果、現場内でどうしても発生する小運搬や雑務を処理することが以前より難しくなったといいます。



      治山現場は地山に挟まれ作業しづらい場所が多い


    地山や立木に配慮しながら完成した治山ダム

■山腹工事の現場

 山腹工事においても、大型のバックホーを中腹に持ち込んで設計外の切り盛りを行っている現場を散見します。かっては、山腹工こそ森林土木の技術特質を示す現場だと言われ、建設土木分野と工法的な棲み分けが行われ、積苗工や階段緑化工など人力施工の工法が多用された時期がありました。しかし、基礎土壌量や肥料分の減少、後年度の管理不足などが原因で植栽木の成長が不十分であることに加え、今日の課題である人力施工が難しくなったという問題が追加され、専門業者のいるコンクリート法枠工が山腹工事で多用されるようになってきました。山腹工事は、急峻な斜面、狭あい地が大半を占め、人力作業が多いので、人手不足の一般土工業者にとってはさらにハードルの高い厳しい現場となるのです。

 
        施工する箇所が多くなった簡易法枠工



       人家裏では強度のある法枠工の施工が多い

  また、山腹工事にも当然熟練工が必要です。例えば、古くから多用されてきたフトン籠は、詰め石を重機でどさっとかご内に落とせばよいのではなくて、手作業で廻りからきちんと積み込み、場所によっては、ほどほどの隙間をつくることも求められます。また、斜面の基礎工として活用される事例が多く、施工場所は、概して軟弱地盤で、かつ、崩れやすい危険な場所です。過去に痛ましい死亡事故も発生しています。フトン籠はそうした危険な場所で、時間をかけた手作業での施工が求められるのです。

 そもそも、フトン籠類は、現場練りコンクリートの時代に、コンクリート資材の運搬が難しい場所において、下部にはコンクリート造の構造物を設け、上部には簡易かつ現場で材料を採取できる工作物を採用することが多かった時代に多用された工法と聞きます。工種工法が資材運搬の難易度に左右された昭和前期の時代です。
 現在は、小型キャタピラ運搬車の時代で、なおかつ、熟練労務が不足する時代です。危険回避も含め現場施工の面からは、つり上げ強度のある二次製品鋼製籠に、詰め込み時間の短縮可能な小さめの栗石を用いる工種が好まれています。


    フトン籠基礎工          フトン籠の詰石作業

■人手不足と安全確保の観点からの省力化

 現場からは、「型枠大工と配筋工の手当てがつかない」、「平ブロックの積み手がいない」、「フトン籠が施工できない」などの声が聞こえ、熟練工に頼っていた工種で人探しに大変のようです。熟練工を自社雇用せずに外部の専門部隊に頼ってきた施工業者も多いといいます。
 また、一部地区では平地より運搬、打設が手間取る山間地だと生コン単価自体が高くなる傾向があるという話も聞きます。地理条件の不利さを労務によって補ってきた側面もあります。こうした労務不足を背景に、森林土木工事は施工業者にとって今まで以上に難しい仕事となり、結果的に、落札不調が発生することもあるようです。

 国では、森林土木工事の省力化のため、あらかじめ工場等で一部製作し現地で適用するプレキャスト化、大型ブロックやL型ブロック等ブロック製品の適用拡大、軽量プラスチック製品の活用、小運搬施工を含んだ山腹工法の開発、ラスや鋼製枠を使用した型枠の施工、などを現地実証中であると伺っています。
 これまでは、主に経費削減に向け省力化を進めるよう言われてきました。もちろん経費のかからない工法選択は必須ですが、一方で、人手不足や安全確保の観点から省力化工法を採用していくべき時代となってきたといえます。フトン籠の例に見るように、自然条件や現地条件に加え、社会条件の変化によって、採用されるべき工種・工法は変化していくものだと思います。当社団においても、発注者の指導を得ながら、経費とともに施工事情も考慮した工種選定を心がけていきたいと思います。



     工期短縮と省力化が模索される大型ブロックの適用

【 お知らせ 】第8回定時社員総会を開催しました


 令和元年6月13日、一般社団法人秋田県林業コンサルタントの定時社員総会が秋田市内で開催されました。当日は、市町村社員や個人社員、社団役職員など30名が出席しました。

 初めに、小川理事長が、「平成24年の一般社団法人移行後、多くの皆様のご支援を受け、経営は順調に推移した。今年度の国の公共予算は、特別枠予算も加わり大幅に伸びたが、県内の事業要望は多いので、今後、この予算が維持できるよう関係各所に要望していく必要がある。森林環境譲与税は、県、市町村とも、この6月議会で受け入れ基金条例が設けられ、税事業の推進体制が整備されるが、当面、森林所有者の意向調査事業が中心と聞く。今後は、県内、全国から使途の情報収集に努め、得意とする森林調査事業や森林土木事業などでお手伝いして参りたい。また、当社団はまもなく設立50年を迎える。将来は、集中豪雨の多い時代へ、公共事業が新設から保守管理の時代へ、林業が間伐から主伐の時代へと、大きく変化することが予想されるので、時代の要請にしっかり対応し、森林・林業のエキスパート集団として、県土の保全と健全な森林育成、林業振興に寄与してまいりたい。引き続き、皆様のご支援とご協力をお願い申し上げる。」と挨拶しました。


    
  開会挨拶をする小川理事長     来賓祝辞の県森林整備課三森主幹

 また、来賓祝辞として、県農林水産部嶋田技監(県森林整備課三森主幹代理出席)から、「治山林道の適切な調査測量や災害時の迅速な対応などに感謝申し上げる。国では、防災・減災、国土強靱化緊急対策を3カ年で集中的に実施する。県でも「秋田元気創造プラン」により、復旧予防対策や海岸防災林整備を計画的に進める。また、林道では、林内路網条例に則し、林道、林専道等をバランス良く積極的に整備していく。今後とも、「緑の公共財」としての森林を維持造成し、次世代へ引き継いでいくため、県土保全と森林の健全な維持造成、林業の振興に勤めるので、皆様のご支援、ご協力をお願いする」との挨拶をいただきました。

 議案審議においては、30年度事業報告や公益目的支出計画などが議題となりました。30年度の治山、林道事業については、県や市町村からの受託業務の増などにより当初計画に比べて増額決算となりました。また、公益目的事業については、森林機能モニタリング調査や森林土木等技術研修事業などを計画通り実施しました。この結果、提出議案が全て承認されました。


             第8回定時社員総会の状況

【 ニュース 】救命措置の講習会を行いました

 
    林コンでは、防災に係る組織として、心肺蘇生など緊急時の対処法を学ぶため、日赤秋田県支部の担当者を招き講習会を開催しました。当日は、林コンや緑化推進委員会の職員など20名が参加しました。


 近年の災害の状況など30分の講義のあと、さっそく、心肺蘇生とAEDの使い方などの実技が行われました。倒れている人の呼吸確認、胸骨圧迫、人工呼吸、そして、AEDの活用など、モデル人形を使って、具体的に指導を受けました。

 そのほか、けがなどの緊急時の救急法として、足首ねんざの固定法、頭や脛、腕にけがした場合の「三角巾」の活用法などを学びました。山間部に入る機会の多い林コン職員にとっては大いに勉強になりました。
 
 林コンが管理する森林環境会館にもAEDを設置していますが、いざというときにその活用法がわからなければ意味がありません。また、以前に指導を受けていても忘れていることも多いものです。林コンでは、職員一人一人がこうした緊急時の対応ができるように、定期的に講習会を開催していくこととしています。







【トピックス 】ドローン散歩:引き続きナラ枯れには注意


    本年は大幅に減少したと報道のあったナラ枯れ被害ですが、媒介するカシノナガキクイムシは簡単に消滅しないようです。しばしば大量発生と衰退を繰り返すとのこと。老齢木の存在や気候の状況など条件さえ整えば、ナラ類はこの昆虫にマスアタックを受け、時に枯死します。特に、拡大が懸念される県北部は引き続きの注意が必要です。


           能代市鶴形地区
 
          三種町長信田地区


【トピックス 】敦煌市の防風林造成(中国視察2)


 中国蘭州市に続いて敦煌市伊塘湖造林地について紹介します。
    敦煌市は蘭州市よりさらに500kmほど北西部に位置し、シルクロードの拠点として有名な地域です。年間降水量は40mm程度で広大なゴビ砂漠の南部に位置しています。雨量が極めて少ないうえ、内陸性気候で冬期には氷点下数十度にもなるなど、寒暖の差が大きく、植物の生育には極めて厳しい環境です。
 前回の急峻な皐蘭山造林地と異なり、こちらでは、砂漠地近くの平地13 haほどに、ポプラの一種の胡楊が植栽されていました。近くに空港や関連施設があり、防風と防砂の林帯造成を目指しているようです。

 

                    砂漠地付近の植栽地

   
 県林業育成協会が支援している試験地     13haほどの胡楊の植栽地
   

 植樹法は黄土に羊フンのたい肥を混ぜ植栽するとともに、根際の土壌だけに水分が染み込むように、植栽木の周りに高さ0.1~0.2m、1.5×1.5mほどの方形の土壁をつくっています。前の視察地の「魚鱗抗」と目的が似ています。当地でも、地下水を利用した散水装置が設置され、半月に一度ほどの割合で散水が行われています。降水量は少なく厳しい生育条件であるものの、適切な管理のもと、植栽後6年経過し、胡楊の生育は順調のようです。



        貴重な地下水を根際に浸透させるため土壁をつくる

 植栽している胡楊は、中央、西アジア、北アフリカなどに広く分布する樹種で、大きいものは高さ20m、直径1mほどにもなります。長い間の伐採や開発の結果、在来林分は減少し現在は禁伐となっているとのことです。陽光を好み、熱、乾燥、塩分、強風に強く、年数を経て太くなった樹幹には多量の水分が含まれていて、ポプラやニセアカシアなどの外来導入樹種と異なり、乾燥地において、年齢を経ても活力、成長が持続することが知られているとのことです。「胡楊は生きて千年枯れず、枯れて千年倒れず、倒れて千年腐らず」というように、3000年の長生きの木であるとの説明を現地で受けました。植栽木は、外来種から郷土種まで、いろいろ試験している状況であるように思えました。

 
         敦煌市莫高窟近くの胡楊の成林木

    植物にとって降水量は最も大切な生育条件です。通常、年間降水量が500mm以下だと自然状態では森林が成立しにくいとされ、ステップ、サバンナなどの草原地帯となります。100mm以下だと、サボテンのような果肉植物の一部が生育可能であって、砂漠化すると言われます。視察地の蘭州市は250 mm、敦煌市は40mmの乾燥地域でした。植え付け穴への雨水導入のために、階段や深穴、土壁など周辺土壌の整形を行い植林し、さらに、植樹後に、地下水をくみ上げ人工的に散水しています。経費と労力は相当なものです。

 我が国は平均すれば1600mm程度なので、降水量だけみれば森林の生育に問題はなく恵まれた条件下にあります。むしろ、降水量が多いゆえの排水や地下水対策が必要となる場合が多々あります。これまで、崩壊地や地滑り地の植栽が各所で行なわれてきましたが、保水・排水に優れた土壌状態を作るという意味では、いまだに検討の余地があるように思えます。

 今回の緑化視察地では、乾燥地帯と多雨地帯の違いはあるものの、植栽方法は、土壌改変を伴う治山造林の範疇に入るような手法で行っていました。こうした植樹方法がさらに改良・定着し、かっては森林が多かったといわれる黄土高原で、少しづつ緑の回復が進むことを願う次第です。

【 ニュース 】若者の県内定着に貢献!当社団がベビーウェーブアクション会長表彰を受けました

 当社団は、このたび、少子化克服のモデルとなる取組を行っている企業・団体などが表彰される「ベビーウェーブ・アクション会長表彰」を受けました。ベビーウェーブ・アクション会長表彰は、県内における脱少子化の気運を高め、他の企業・団体への波及を図ろうと、県内の官民の団体から成る「脱少子化ウェーブを巻き起こす行動県民会議(ベビーウェーブ・アクション)」が、毎年、実施しているものです。
 
 当社団は、毎年、高専学生等をインターンシップに受け入れているほか、新規学卒者やAターン登録者を積極的に採用しています。また、職員の資格取得や取得後の更新講習支援などの職員のキャリアアップを推進しています。さらに、年次休暇や介護休暇、特別休暇の取得促進や、学校行事や病気・けが等に休暇を利用しやすくするなど、仕事と子育ての両立を支援しています。こうした取り組みが高く評価されました。

 本年度は「社会福祉法人いずみ会」など県内9団体が選出され、10月に秋田市の秋田拠点センターアルヴェで表彰式が行われました。当社団から、石田課長、明石主任が出席し、佐竹知事から表彰状を受け取りました。

    当社団では、意欲ある若者が少しでも県内定着ができるよう、今後とも、新規職員の採用、職員の意欲喚起や職場環境の向上などに努めてまいります。

【トピックス 】蘭州市の階段緑化(中国視察1)

秋田県は中国甘粛省と昭和57年に友好提携を結び、各種の技術交流を行ってきました。植樹事業もその一環で、甘粛省蘭州市皐蘭山造林地は平成16年以降、本県の林業育成協会が中心となり植樹指導をしています。本年10月、本県林業団体の代表が中心となった甘粛省緑化事業視察が行われ、当社団からも小川理事長が参加しました。

 植栽地一帯の土質は黄土です。黄土は中国西北部の黄河上流域から発生する黄砂が長年にわたり降り積もり圧密固結したもので、場所によっては深さ100メートル以上も堆積しています。シルト質で、通常は固いが、水には簡単に浸食され、一旦崩れると粉状になって飛び散りやすいとされています。本県の鹿角、北秋田地区に分布するシラス土壌に性質が似ています。また、蘭州市の降水量は年間250ミリほどで本県の1/7に過ぎませんが、夏の雨季には黄土の浸食を引き起こす強い雨も降るようです。

      蘭州市周辺の急傾斜地の黄土

 こうした自然条件を反映し、急傾斜地では崩落に注意しながら階段を造成した上で、さらに、階段上の植栽地に深い穴を掘って、貴重な雨水が逃げないようにして、植栽しています。植栽穴は直径1メートル、深さ0.8メートルほどの大きなもので、植栽後の埋め戻しは、流れる雨水を逃さず地中にしみこませるように、地表から0.2メートルほど下で止めます。こうした植樹法は、植栽木が土中に沈み込んだようになり、空から見ると魚のうろこのように見えることから「魚鱗抗造林」というそうです。

  
           階段状の造林地(1)

 また、主な植栽木はコノテガシワ、ニセアカシア、ポプラ、アブラマツなど乾燥に強い樹種、しかも、当地域では成長が早期に実感できるようにと、大苗が植えられていました。
 経費をかけて人力で階段をつくり植栽を行うあたりは、治山事業の階段植栽と同じ手法ですが、我々が、雨量や地下水位による根腐れが起きないように、盛り土植栽や周辺の溝きりなどを行うのに対し、降水量が少ない当地では、貴重な雨水を根系の範囲外に逃さないように深穴植栽を行うところが、我々が通常行う植栽と正反対でした。


            階段状の造林地(2)
 
 植樹後、地下100メートル以上は掘って供給されるという散水装置から、貴重な地下水が深穴にたっぷり注がれていました。今後は森林化に加え、寒暖の差が大きく糖度の高い果樹ができることから、場所によっては、森林にナシ、モモ、ブドウなどの果樹も混ぜて植栽していきたいとのことです。大昔は森林が多かったと言われる中国の黄土高原ですが、一度森林が破壊されると、その復旧には大変な労力と経費がかかるようです。長期間かかると思いますが、少しづつ緑が回復することを願う次第です。
 
        植栽後、たっぷりと深穴に水やりを行う



【 ニュース 】震災後7年を経過した海岸林を視察しました


   10月11、12日の2日間、震災発生後7年を経過した福島県と宮城県の海岸部の震災復旧事業地を視察研修しました。これは、当社団の公益業務の一環として、市町村や県の職員の皆さんを対象に、森林土木事業の技術向上を目的に実施したもので、今回は、県関係者10名、当社団6名の計16名が参加しました。

 初めに、福島県南相馬市原町区萱浜地区ほか2地区を視察しました。当地域は津波により多くの海岸林が消失しましたが、その後、消波堤、防潮堤の造成と背面のクロマツ植栽などを計画的に実施し、現在、復旧計画の9割以上が完了しました。海岸林の林帯幅は200mを確保し、地下水位から3mまでの盛り土を行うよう努めています。植栽には、10×20mの静砂垣を設置し、マツノザイセンチュウ抵抗性のクロマツ苗を使用、また、直根が発達し植栽時期に制約が少ないといわれるコンテナ苗を用いました。内陸側には、アカマツや広葉樹も植栽しています。
 福島県全域の海岸林の復旧計画は3市4町9地区にわたり、実施面積606ha、計画事業費818億円と膨大で、現在までの進捗率は58%です。視察地の原町地区では、本年6月に、全国から8000人が参加し全国植樹祭が開催され、2万本のクロマツ植樹が行われました。

 
         南相馬市鹿島地区の現地施工状況

 次に、宮城県岩沼市寺島字川向の国有林実証試験地を視察しました。当地域では、海岸林造成の関する樹種、植栽方法についての実証試験が行われています。植栽樹種については、クロマツ単体、クロマツ+広葉樹、広葉樹単体などで、植栽本数も5000本~3万本、その他、堆肥の有無、静砂垣・防風柵の設置密度など、植栽方法を変えた試験区を設定し調査しています。(広葉樹はケヤキ、コナラ、ヤマザクラなど)
 植栽後2年経過し、これまでの調査では、多くの植栽木が90%以上の活着率となったこと、ヤマザクラの活力度が低いこと、表層土が海砂で植穴施肥を施さないケヤキの活着率、活力度が低いこと、などの結果が得られています。今後、長期のモニタリングを行う予定で、海岸林造成に関する専門的な知見が得られると期待されています。
 

           岩沼市寺島字川向地区での質疑


 平成23年3月の巨大災害発生後、甚大な被害を出した海岸林と海岸施設の復旧状況を毎年視察してきましたが、近年は、防潮堤や砂丘造成など土木的な対策に加え、本格的な海岸林の植栽事業を視察できる機会が増えました。植栽木が順調に生育し、海岸防災林として本格的に機能するまでには、さらに数十年が必要で、引き続き、今後の適切な保育管理が大切であると感じました。
 研修参加者からは海岸林の重要性を再認識した、今後もこうした研修の場を設定していただきたい、などの声が多数寄せられました。当社団では、技術向上や普及啓発を目的に、今後もこうした公益事業を続ける予定としています。

  
             研修会の出席者










【 ニュース 】平成31年度林業予算の要望活動に参加しました

  11月8日、秋田県森と水の協会が主催する次年度予算の要望活動に、津谷永光会長他13名が出席し、林野庁、財務省、国会議員に対し、次年度林業予算の要望活動を行いました。当社団から小川理事長、熊谷専務、三浦理事の3名が参加しました。
 近年、全国的に集中豪雨災害が多発しているものの、治山予算が伸び悩んでいます。また、林業成長産業化に必要不可欠な路網予算も不足しております。このため、市町村長等正会員49名、林業団体長等賛助会員20名の連名で要望書を作成のうえ、本県の現状や要望の具体的な内容を関係各位に説明してきました。

(要望内容)

1.治山事業予算の確保
 ①本年度発生災害や25年災害の復旧のための、補正を含めた予算確保
 ②荒廃危険山地における事前防災・減災防災を推進する予算の充実
 ③治山施設の点検や補修に係わる予算の充実
2.森林整備予算の確保
 ①再造林対策の充実と造林公共予算の確保
 ②林道、林業専用道、森林作業道の計画的な整備と橋梁等の点検・診断、改修に要する予算の
  確保
 ③「林業成長産業化」等の充実・強化のための予算の確保


 要望先は牧元幸司林野庁長官はじめ公共事業予算担当の各課室長、富樫衆議院議員ほか5名の自民党地元選出国会議員などです。
 牧元長官からは、「近年の集中豪雨災害の多発に対し林野庁としても万全をつくす。森林環境税が創設され通常予算が減額されたら本末転倒なので予算確保に万全を期したい。また、林業の成長産業化に向け頑張りたい」などの言葉をいただきました。


       牧元林野庁長官への要望

        富樫衆議院議員への要望




【 ニュース 】県から優良業務表彰を受けました

 
 秋田県が発注する調査、測量、設計などの業務委託において、優れた業務を表彰する「秋田県優良業務表彰」(主催 秋田県)で、当社団が優良業務表彰を受けました。
 これは、調査及び設計を行う技術者の育成・確保を図り、社会基盤の品質を確保することを目的として、県が毎年表彰するもので、本年が4回目となります。測量、地質調査、土木設計、調査点検等の4部門が表彰対象で、当社団は土木設計、調査点検等の2部門で優良業務表彰を受けました。なお、県内に数多くある調査・測量会社等で、本年度に優良表彰を受けたのは8社13業務でした。
 表彰式は、9月3日に、優良工事表彰者とあわせ約100名の出席のもと、県正庁で行われました。当社団からは、小川理事長、前川副主幹、藤嶋専門員の3名が出席し、佐竹知事から表彰状をいただきました。


(優良業務表彰を受けた業務)

土木設計部門   井戸尻台地区 森林学習交流館機能強化業務委託
   森林学習交流館プラザクリプトン周辺の森林において、林業体験学習を行うための森林整備、施設整備を設計

調査点検等業務部門 佐戸沢ほか地区 予防治山業務委託
 秋田地域振興局管内の「山地災害危険地区」において、新危険地区の追加と新基準に基づく危険度見直しを実施



  (「クリプトン森林学習交流の森」内で、歩道橋として設置されたCLT木橋)

【トピックス 】ドローン散歩:藤里町早飛沢地区の治山事業

早飛沢地区は、平成25年8月9日の豪雨により、秋田・青森を連絡する重要路線である県道西目屋二井線に大量の土砂が流出し被災したため、同年、災害関連緊急治山事業などの採択を受け復旧整備を進めてきました。
 写真は、早飛沢Ⅰ地区の実施状況です。新たに、ダム工3基設置するとともに、既設ダム工を活用しながら流路工と山腹工で、発生した土石を安定化させています。過去の豪雨により度々土砂が流出してきた県道西目屋二井線沿線は、関係者の尽力により、この早飛沢地区も含めて、対策工事が終了に近づきつつあります。
 なお、本年8月5日、当地区で、市町村、森林組合、企業などの職員30名が参加した治山林道研修会が開かれ、当社団伊藤技師が講師となりドローンの現地講習を行いました。

   25年災害発生当時

 
  治山事業終了時(流路工、山腹工などを実施させ斜面の安定化を図った)



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