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秋田県林業コンサルタントからのお知らせ

 

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【トピックス 】蘭州市の階段緑化(中国視察1)

秋田県は中国甘粛省と昭和57年に友好提携を結び、各種の技術交流を行ってきました。植樹事業もその一環で、甘粛省蘭州市皐蘭山造林地は平成16年以降、本県の林業育成協会が中心となり植樹指導をしています。本年10月、本県林業団体の代表が中心となった甘粛省緑化事業視察が行われ、当社団からも小川理事長が参加しました。

 植栽地一帯の土質は黄土です。黄土は中国西北部の黄河上流域から発生する黄砂が長年にわたり降り積もり圧密固結したもので、場所によっては深さ100メートル以上も堆積しています。シルト質で、通常は固いが、水には簡単に浸食され、一旦崩れると粉状になって飛び散りやすいとされています。本県の鹿角、北秋田地区に分布するシラス土壌に性質が似ています。また、蘭州市の降水量は年間250ミリほどで本県の1/7に過ぎませんが、夏の雨季には黄土の浸食を引き起こす強い雨も降るようです。

      蘭州市周辺の急傾斜地の黄土

 こうした自然条件を反映し、急傾斜地では崩落に注意しながら階段を造成した上で、さらに、階段上の植栽地に深い穴を掘って、貴重な雨水が逃げないようにして、植栽しています。植栽穴は直径1メートル、深さ0.8メートルほどの大きなもので、植栽後の埋め戻しは、流れる雨水を逃さず地中にしみこませるように、地表から0.2メートルほど下で止めます。こうした植樹法は、植栽木が土中に沈み込んだようになり、空から見ると魚のうろこのように見えることから「魚鱗抗造林」というそうです。

  
           階段状の造林地(1)

 また、主な植栽木はコノテガシワ、ニセアカシア、ポプラ、アブラマツなど乾燥に強い樹種、しかも、当地域では成長が早期に実感できるようにと、大苗が植えられていました。
 経費をかけて人力で階段をつくり植栽を行うあたりは、治山事業の階段植栽と同じ手法ですが、我々が、雨量や地下水位による根腐れが起きないように、盛り土植栽や周辺の溝きりなどを行うのに対し、降水量が少ない当地では、貴重な雨水を根系の範囲外に逃さないように深穴植栽を行うところが、我々が通常行う植栽と正反対でした。


            階段状の造林地(2)
 
 植樹後、地下100メートル以上は掘って供給されるという散水装置から、貴重な地下水が深穴にたっぷり注がれていました。今後は森林化に加え、寒暖の差が大きく糖度の高い果樹ができることから、場所によっては、森林にナシ、モモ、ブドウなどの果樹も混ぜて植栽していきたいとのことです。大昔は森林が多かったと言われる中国の黄土高原ですが、一度森林が破壊されると、その復旧には大変な労力と経費がかかるようです。長期間かかると思いますが、少しづつ緑が回復することを願う次第です。
 
        植栽後、たっぷりと深穴に水やりを行う



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