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【 ニュース 】震災後7年を経過した海岸林を視察しました
10月11、12日の2日間、震災発生後7年を経過した福島県と宮城県の海岸部の震災復旧事業地を視察研修しました。これは、当社団の公益業務の一環として、市町村や県の職員の皆さんを対象に、森林土木事業の技術向上を目的に実施したもので、今回は、県関係者10名、当社団6名の計16名が参加しました。
初めに、福島県南相馬市原町区萱浜地区ほか2地区を視察しました。当地域は津波により多くの海岸林が消失しましたが、その後、消波堤、防潮堤の造成と背面のクロマツ植栽などを計画的に実施し、現在、復旧計画の9割以上が完了しました。海岸林の林帯幅は200mを確保し、地下水位から3mまでの盛り土を行うよう努めています。植栽には、10×20mの静砂垣を設置し、マツノザイセンチュウ抵抗性のクロマツ苗を使用、また、直根が発達し植栽時期に制約が少ないといわれるコンテナ苗を用いました。内陸側には、アカマツや広葉樹も植栽しています。
福島県全域の海岸林の復旧計画は3市4町9地区にわたり、実施面積606ha、計画事業費818億円と膨大で、現在までの進捗率は58%です。視察地の原町地区では、本年6月に、全国から8000人が参加し全国植樹祭が開催され、2万本のクロマツ植樹が行われました。
南相馬市鹿島地区の現地施工状況
次に、宮城県岩沼市寺島字川向の国有林実証試験地を視察しました。当地域では、海岸林造成の関する樹種、植栽方法についての実証試験が行われています。植栽樹種については、クロマツ単体、クロマツ+広葉樹、広葉樹単体などで、植栽本数も5000本~3万本、その他、堆肥の有無、静砂垣・防風柵の設置密度など、植栽方法を変えた試験区を設定し調査しています。(広葉樹はケヤキ、コナラ、ヤマザクラなど)
植栽後2年経過し、これまでの調査では、多くの植栽木が90%以上の活着率となったこと、ヤマザクラの活力度が低いこと、表層土が海砂で植穴施肥を施さないケヤキの活着率、活力度が低いこと、などの結果が得られています。今後、長期のモニタリングを行う予定で、海岸林造成に関する専門的な知見が得られると期待されています。
岩沼市寺島字川向地区での質疑
平成23年3月の巨大災害発生後、甚大な被害を出した海岸林と海岸施設の復旧状況を毎年視察してきましたが、近年は、防潮堤や砂丘造成など土木的な対策に加え、本格的な海岸林の植栽事業を視察できる機会が増えました。植栽木が順調に生育し、海岸防災林として本格的に機能するまでには、さらに数十年が必要で、引き続き、今後の適切な保育管理が大切であると感じました。
研修参加者からは海岸林の重要性を再認識した、今後もこうした研修の場を設定していただきたい、などの声が多数寄せられました。当社団では、技術向上や普及啓発を目的に、今後もこうした公益事業を続ける予定としています。
研修会の出席者
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